年金はいくらもらえるのか心配になったことはないでしょうか?「日経わがまま」によると、平均17万円/月だそうです。必要な金額が27万円だそうですので、月10万円不足する計算です。不足分は貯蓄で穴埋めしないといけませんが、受給後10年で1200万、20年で2400万も必要です。もし貯蓄が底をついた場合、レベルを下げて生活するようになるでしょう。考えれば考えるほど老後が心配になってきますね。しかしこれからの時代は年金だけに頼ってはいけないような気がします。国、つまり他者に頼るのではなく、自己責任で老後の準備をする時代がきているんだと思います。国がまともに年金をくれない可能性だってあるわけですから、国を100%信用するのは危険です。
『もらえる年金額の実像は受給前にはイメージしにくいものだ。夫婦で手取り月額17万円と聞けば、「そんなに少ないのか」と、愕然とさせられる(企業年金・確定拠出年金がない場合)。『年金お助けBOOK 2008−2009年版』をまとめた日本生活設計の村田純一・代表取締役は「親や先輩の受給額を当てにしてはいけない」と説く。年金事情に詳しい村田さんに、年金生活の現実を聞いた。
<村田純一・日本生活設計代表取締役>年金をめぐる事情は、世代間でずいぶん異なる。もらえる年金額に、世代間の「格差」が厳然と存在するのだ。
団塊の世代や50代後半が往々にして勘違いしてしまうのは、彼らの上の世代を見ているせいだろう。既に年金を満額受給しているこの世代は、現役時代に結構な高給をもらっていた場合、トータルで50万円から60万円もの年金をもらっているケースが珍しくない。祖父母が孫の通う塾の月謝を払っているという話もよく聞く。
多くの人は「親父があれだけもらっているのだから、俺も大丈夫だろう」と、甘い夢を見てしまう。しかし、もらえる年金額は今の70歳以上とこれからでは全然異なる。最近もらい始めた人は、上の世代よりもぐっと少ないし、今の40代が将来もらえる額はもっと減る上に、年金支給開始年齢は65歳に引き上げられている。60歳台前半は「無年金」である。
信じ込んでいた「年金暮らし」の夢が一瞬にして崩れたと気付いた定年退職者の憤りはすさまじい。例えば、神奈川県内のある社会保険事務所には、しょっちゅう訪れては暴れ出す受給者がいる。現役時代には1カ月に100万円もの給料をもらっていたようだが、定年退職後にもらえる年金額があまりに見劣りするので、キレてしまうのだそうだ。「計算の根拠がおかしい」と、騒ぎ立てるのだが、受給し始めた時期は10万円にも満たないのだから、気持ちは分からないではない。
今の50代は総じて老後の資産作りに関して準備不足だ。厳しい見方をすれば、6、7割が「手遅れ」と言ってもいいだろう。年金制度が比較的しっかりしている大企業の場合は、企業年金があるからどうにかかる。共働きであれば、夫婦の年金を合わせて、老後の支出をどうにか賄えるだろう。しかし、退職金が2000万〜3000万円あって、企業年金ももらえるという夫婦は全体の1割程度しかいないのではないか。残り9割は「話が違う」という不満を抱えて、リタイア後を暮らすことになりかねない。
年金生活の現実が、これから年金生活を迎える層にきちんと伝わっていないのを感じる。厚生労働省が示しているモデルでは1カ月に23万円(65歳から夫婦で受け取る年金月額、老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計)となっているが、実際にはこれから受給する人でそこまでもらえる人は少ない。
では、実際にはどれぐらいもらえるのか。私の事務所の試算によれば、夫が厚生年金に38年加入し、妻は専業主婦で国民年金の場合、夫の最終年収が700万円であれば、この夫婦が受け取れる年金額は1カ月当たり手取りで17.5万円程度になる(夫婦ともに1949年4月2日以降の生まれ)。
内訳は夫の厚生年金が月額8.7万円(年額104.2万円)、国民年金が月額6.6万円(年額79.2万円)、妻の国民年金が月額6.6万円(年額79.2万円)だ。企業年金も確定拠出年金もない場合を前提にしている。
夫(8.7万円+6.6万円)+妻(6.6万円)=21.9万円だが、税金や保険料(国民健康保険、介護保険など)を差し引くと、手取額は支給額の8割程度になるのが普通。8掛けで考えると、夫婦合計の月額は17万円程度になる計算だ。
総務省の2007年家計調査によれば、60〜69歳世帯の平均生計費は26.3万円。年金額17万円では、10万円近くも足りなくなる。不足する分は、蓄えや退職金を取り崩すしかない。』(日経わがまま)